俺が愛するのは永遠にお前だけ  最終回

つくしの墓参りの後、司は
新たな取引先との契約を結ぶため、
指定された場所に向かっていた
いつもの事ながら、都内の道路は渋滞し動く気配すらない

「まずいな」

はじめて取引をするにあたり、大幅遅刻は
信用を落としかねない
「渋滞が遅刻の理由にはならないからよ」

「西田、車を降りて走るか?」

「それも、致し方ないかと……」

「決まりだな!」

「オメェ、そんなポンコツな身体で走れんのかよ」

久しぶりに聞く司の悪態に

「坊ちゃんも、ようやく前を向いて
 歩きはじめたんですね」
西田は、心の中で安堵した

「行くぞ!」

目抜き通りをかけだした司を
必死に追いながら、西田は異変に気がつく

「何だ?今の音は」






「どけよ!お前ら!皆殺しにしてやる」

へらへらと、薄ら笑い浮かべた男の手には
銃が握られていた

「キャァーーーー」と言う悲鳴と共に
かわいた銃声の音がした

「司さま!」

辺りはパニックになり、
西田は、逃げまどう人波に飲み込まれていく

「坊ちゃん!」

守らなければ!何があっても坊ちゃんを守らなければ
つくしさまに顔向けできなくなる
銃を握りしめた男が司に近寄って行くのが見える

逃げ惑う人波を逆らうかのように、
司は男の至近距離まで近づくと
仁王立ちになって、両手を広げ、
ニヤリと不敵な笑みを浮かべた



「き、き、貴様……」
「俺を馬鹿にしてるのか」
司の気迫に、おされ、パニックになった男が
引き金を引いた




「パンパンパン」
悲鳴と共に
辺り一面、真っ赤な血で染められ
司が倒れて居るのが見えた

「坊ちゃん」「坊ちゃん………」「坊ちゃん!」

半狂乱になって司に駆けよった西田が
救急車を呼ぶため、スーツの内ポケットにある
携帯に手をやると



虫の息の司が、
「野暮な真似するんじゃねぇよ……」
「あいつが迎えに来たんだ……邪魔すんな」

ニャリと笑うと同時に息絶えた

「ウォォォォォォォォ」
西田の叫び声があたりにこだまする

男は無差別殺人の通り魔だった
翌日の新聞一面に、司の記事が載った

「自らの命を呈して、盾になった名誉の死」の文字が
紙面に大きく書かれていた
一躍時の人となった司は、ヒーロー扱いになり
幼馴染みや、椿、西田は、司が取った行動が
何を意味していたのかわかりすぎるくらいわかり
号泣した
「どうして……」
「何だよ、あいつ…」

幼馴染みや椿、西田、優紀、滋、桜子は
司の突然の死を受け入れられずにいた

「司らしいじゃん……」

目に涙を溜めた類がつぶやく
「やっと牧野の傍に逝けたんだからさ…」
「よかったね、司」

穏やかな顔をして眠る司に
静かに最後の別れを告げる

司の49日を終え、椿は
司から託された大切なものがあったことを思い出し

司の部屋に入り、預かっていたキーで
金庫を開けてみると、
その中に小さな箱が10個あり、
和紙の封筒に入った手紙らしきものもあった

小さな箱には、それぞれの名前が書かれた
メッセージカードが添えられていた

椿 類 総二郎 あきら 優紀 滋 桜子 タマ 西田
そして、つくしの両親

邸に呼ばれた友人達は、
司からの贈り物をそれぞれ受け取った
メッセージカードには名前だけ書かれ、
カードは白紙のままだった
ラッピングされた、小さな箱を開けてみると
司がNYのギフトショップで見つけた
タキシードとウエディングドレスを着た
うさぎの置物だった



桜子が何気なく、うさぎの靴裏を見た途端
絶句したかと思えば、その場で泣き崩れた



 
タキシードを着たうさぎの靴裏に 

司30歳

ウエディングドレスを着たうさぎの靴裏には

つくし25歳

と書かれてあった

「あいつ、こうなること、はじめから
 わかってたみてぇじゃねぇか」

総二郎が、嗚咽を漏らしながら泣き崩れた



箱と一緒に同封されていた手紙は
椿に宛てたものだった

椿様

姉ちゃん、迷惑ばっかかけて
すまなかった

これをふたりの墓の中に入れて下さい

ありがとう


               司




同封されていたのは、永遠に提出することがない
婚姻届とペアのマリッジリングが入っていた



リングには、
It's you I'II aIways love
俺が愛するのは永遠にお前だけ

の文字が刻まれていた





                 完


@Ranmaru
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俺が愛するのは永遠にお前だけ 17

司は、いつものように
つくしが眠る場所に来ていた

「ふたりのスイートホームが墓場って
 俺達らしぃじゃん」 

珍しく軽口を叩く

「お前が居なくなって、4年も過ぎちまったよ」

「俺よ、もう30だぜ」
「すっかり、オッサンになっちまった」
「良いよなぁ、お前は永遠の25歳だもんな」

「いつまで待たせるんだよ……」
「俺は、気が短えんだ、いい加減迎えに来いよ」
静かに目を閉じて、つぶやく
「まってっから………」


@Ranmaru
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俺が愛するのは永遠にお前だけ 16

司は、楓の存在が許しがたく、邸には戻らず
自身が所有するペントハウスで暮らしていた

つくしの三回忌法要の為
椿が、LAから帰国し司のペントハウスにステイしている

「司、入ってもいい?」
書斎で仕事する司に椿が声をかけた

「ああ」

「早いね、つくしちゃんが亡くなって
 丸2年だね」

「姉ちゃん、神様って、ほんとに居るとおもうかよ?」

「えっ?」

「俺たち、一緒にいちゃいけないから
 こんなことになったんか?」

「俺が悪いのか?」

「今までしてきた事の因果応報なんか?」

「それとも、俺の罪をあいつが全部背負って
 俺のこと、守ってくれたんか?」

背を向けているが、司が泣いていることが
わかる

人前で、決して涙を見せる事が無かった弟
つくしの葬儀でさえ、涙を流すことがなかったのに
声を出さずに泣いている

「姉ちゃん、俺は、あいつがいなくなったこと
 いまだに信じられねぇんだよ」

「ひょっこり現れてよぉ、
道明寺って声が聞こえてきそうで」
「待ってるのに………ずーっと待ってるのに…」
「迎えにきてくんねぇんだよ」
「あと、何年待てば、あいつ、俺を迎えに来るんだよ」

「司……」

「姉ちゃん、クローゼットの中にある金庫に
 俺とあいつの大事な物が入ってっから
 俺にもし、万が一の事があれば、開けて
 中身をみてくれよ」

「姉ちゃんにしか託す人いねぇから………」

「司……あんた、まさか……」

「心配すんな、あいつが迎えに来るまで
 死んだりしねぇから、約束したんだよ……あいつと」

頼んだぜ!そう言うと、背を向けたまま
椿に向かってキーを放り投げた



@Ranmaru
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俺が愛するのは永遠にお前だけ 15

つくしが亡くなり、
司が荒れ狂うと思っていた
楓、椿、西田、タマは
司の以前より増した落ち着きぶりに
戸惑いを隠せなかった
変わった事と言えば、
spを全て排除した 

「もしもの事態を想定して……」
「治安が悪い国への渡航だけでも
SPの警護を」と……西田が切望しても
司は、受け入れることはなかった

勘のいい司に誤魔化しは利かないと
わかっている西田は、なすすべもなく
だが、誘拐、内戦テロに巻き込まれる可能性が高い
地域への渡航は、司にバレぬよう現地住民を
SPとし用意していた

司の変貌ぶりに一番喜んだのは母の楓

「やっぱりね………」
「あの女が司を狂わす全ての悪事だったんだわ」
「跡形もなく、綺麗さっぱり消えてくれたお陰で
 やっと司も、道明寺家の跡継ぎとしての自覚が
 芽生えてきたようね」

「下手に手出しせずとも、向こうから消えてくれたわ」
人が変わったように、仕事に打ち込む息子を見て

「結果往来じゃないの……」
楓は、司の心など、知る由もなかった

司は、治安の悪い僻地や
内戦が激しい国、テロに巻き込まれる可能性のある場所へ
まるで取り憑かれたように出向いて行った

帰りの機内で司は
「ハァー」と肩で大きなため息をつき

そのため息の意味を西田は理解していたが
口に出すと現実になってしまうのではないかと思い
決して口にすることはなかったのだ

「ったくよぉ……」

「また、無事に帰ってきちまったぜ……」

椿、タマ、親友達と同様に、西田もまた、
司とつくしの叶わぬ恋の応援者だった
時には楓の逆鱗に触れることを覚悟で
司達の盾になり、ふたりで過ごす時間を確保していた
まるで子供のような純真でまっすぐな愛
ここまで誰かを愛する事ができるものなのか?
もろく崩れ去りそうな、ふたりの関係を
長い間、間近で見てきた
かつて、楓の命令で、ふたりの仲を引き裂く側にいた
西田は、あまりにも純真無垢なふたりの恋心に
心揺らされ、心痛めてきた
一途な想いは、人の心までをも
雪解けさせていくのだと…

「もうすぐ、つくしさまの三回忌ですね」
司に語りかけるも返事は返ってこなかった


@Ranmaru
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俺が愛するのは永遠にお前だけ 14

出張先のNYで、ひと仕事終え
司は、珍しくひとり街を歩いていた

ショーウインドに飾られた
陶器で出来たうさぎの置物が目にとまり
呼ばれるように店に入った

タキシードを着きて花束を抱えたうさぎと
ウェディングドレスを着て頭には可愛い花飾りを
つけたうさぎの置物

司は、手に取って
「らしくねぇ」と呟いた
 
帰国して、つくしの一周忌の法要の後
類、総二郎、あきら、優紀、滋、桜子と
お馴染みのメンバーが
いつものBarに集まっていた

「司、お疲れさん!」
「NYは、どうだった?」
場の空気にいたたまれず
あきらが口を開く

「別に何にもねぇよ」

「だよな………」

総二郎が
「牧野が居なくなって、司が荒れ狂うんじゃねぇかって
 みんな心配してたんだぜ」

「お前ら、あいつに会いに行ってくれてるみてぇだな」
「俺が行くと、いつも綺麗な花があってよ……」
「ありがとな」
寂しげに微笑む司の姿に返す言葉が見つからなかった

つくしの想い出話に花が咲き
「悪い、俺、先に帰っから…」
「お前ら気にせず、呑んでてくれよ」

席を立ち痩せた司の後ろ姿に
類が思わず声をかけた

「司、バカな事考えるなよ」

その場に居た誰もが、ハッと息をのむ
司は振り返ることなく

「牧野がよぉ………」
「寿命が来るまで精一杯生きろだとよ」
「心配すんな、死んじまったりしねぇから」
そう言い終わったあと、右手を上げて店を出ていった

その場に居た仲間達は、
一区切り着いたら
司が、つくしの後を追うのではないかと
気が気ではなかった
それくらいやりかねない男だとわかっていたからだ
不器用で情熱的で一途な男
それだけに、危うさを孕んでいた
何があっても、つくしとの約束は破らない男でもあった

「まさか………は、ねぇだろ」
総二郎が自分に言い聞かせるように呟く




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