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50年目のラブレター 7 刹那

「お昼は、庭で食べませんか?」つくしは、司の屈折した気持ちに居たたまれず外で食べようと誘ってみた学校にも行かず、邸の中ばかり居る司の顔色は青白く覇気もなく、細くシャープな身体つきは上品さを醸し出し余計な贅肉がついていない顔は、司の端整な顔立ちをより一層際立たせ、18歳とは思えない独特の空気を纏っていたつくしは祖父に連れられ邸で初めて会った時の司の印象とこうして身近で彼の話を聞き、時折見せる寂しそうな...

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50年目のラブレター 6 刹那

司が絞ってくれた冷たいタオルで、顔、手、首筋を拭いた、つくしは「冷たくて、気持ち良かったです」といつものようにぺこりと頭を下げた司の部屋にはベッドと勉強机、洋服箪笥、本棚、姿見鏡が置いてあった部屋は、散らかることもなく綺麗に片付いており机の上には難しそうな本とラジオが置いてあった冷たいタオルと一緒に使用人が持って来たジュースを不思議そうに見るつくしに司が「飲んでみろ・・・」「はい・・・いただきます...

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50年目のラブレター 5 刹那

「行ってきます!」「気をつけていっといで!」家族に送り出されて、道明寺邸に向かう水筒を斜め掛けし、反対側には麦飯弁当を入れた鞄を下げてブラウスにもんぺ姿、胸には「牧野つくし」と書かれた白い布が縫いつけてあった=======*========*=======1940年(昭和15年)国民服が制定(勅令)された国防色であるカーキ色に上衣、中衣、袴(ズボン)帽子服装を簡便にし、日常着にも礼服にもなりそのまま軍服に...

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50年目のラブレター 4 始まり

司の話し相手を受けることによって良からぬ噂で道明寺家に迷惑がかからぬよう祖父は、つくしは道明寺家の使用人として働くことになったと近所や付き合いのある人達に予め伝えていた道明寺財閥は当時、規模こそ大きくはないが知名度もあり、司の暴力沙汰も噂話で知る人が多かったつくしがそこで働くと言うと「あの大変なお屋敷で働かせるなんて 牧野さん家も、相当お金に困ってるんだな」と陰口を叩かれた=======*====...

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50年目のラブレター  3 始まり

「お疲れさん」「ありがとうございます」使用人頭のタマから、その日の賃金を貰う道明寺邸の仕事は大変だが、賃金が良い祖父は、腕の良い職人で、仕事は切れ目無くあったため祖父母、両親、弟の進を入れた一家6人貧しいながらも食べていくことが出来たつくしの楽しみは、帰り道にある駄菓子屋で、祖父にラムネ(飲料)を買って貰う事だった家に持ち帰り弟の進と分け合って飲み時には、アイスキャンデーがお駄賃だったりした食べ終...

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50年目のラブレター 2 始まり

司は、何もかもが面白くなかった退屈な毎日、周囲は腫れ物に触るような態度で彼に接し大人達は、道明寺家のお坊ちゃまと持ち上げ何もかもが自分の思い通りになる刺激も無ければ、楽しいこともなく、ただ淡々と日々が過ぎてゆく========*=========*=======1931年9月関東軍が中華民国奉天郊外の松条湖にて南満州鉄道を爆破これを中国軍の仕業として軍事行動を開始満州の大半を占拠した、満州事変であるこ...

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50年目のラブレター 出逢い

「ウゥゥゥゥーーー」1995年8月15日正午50回目の終戦記念日を迎えるサイレンの音と共に私は静かに黙祷を捧げる暑い夏・・・・日本は戦争に負けた私の名前は道明寺優司父の顔も温もりも知らずに育ったこの話は、母から聞いた亡き父と母の一途な想いの備忘録である=======*=======*========私は敗戦の一年前に生まれ戦争の記憶などなく母が懸命に働き、女手一つで私を育ててくれた未婚の母として・・道明寺姓を...

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お知らせ

暑中見舞い申し上げます暑い日が続いておりますが皆さまお変わりございませんでしょうか?いつも、拙いお話の当サイトにお越し頂き、ありがとうございますm(_ _)mミデアムの途中ですが、急に書きたいお話が出てきてミデアムは、しばらくの間、お休みさせて頂こうと思っておりますコメント頂く、瀬奈さんから庭師のお話を聞かせて頂きイラスト提供してくださっていた、すてらさんと百田氏の著書「永遠の0」の話をしたことがきっかけ...

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ミデアム 6

月末は、どの会社も忙しいおまけに、仕上がってない原稿も取りに行かないと行けないし言いにくい・・・休ませて欲しいと言いにくいそれも、3日も休ませてなんて言ったら編集部に、冷たい視線と寒ーい空気が流れるもんなぁとりあえず有給休暇申請届けを他の書類に挟み込んで提出した一応提出したんだから、しれーっとした顔で休んでしまえ!そーーーっと自分のデスクに帰ろうとしたら・・・「牧野、なんだコレ?」「ゲッ!!!」見つけ...

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ミデアム 5

「おい、女どもに、連絡回しとけよ!」「何を?」先日、司が話していた道明寺家所有の別荘への小旅行の事だとぼけて見たけど、奴は覚えていた「やれやれ、ややこしくなりそうな・・・・」滋、桜子、優紀にLINEを入れる「月末、3日ほど休み取れる?」「何かあった?」「司のワガママ病です」「お昼休憩に集まりませんか?」「OK!」=====*======*========早速、桜子お薦めのカフェで落ち合うことになった月末...