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50年目のラブレター 23 決意

「坊ちゃん、子供の頃、庭の柿の木に登って 降りて来れなくなったこと覚えてらっしゃいますか?」「あの時、タマ、タマと泣いて私の名前を呼んでたんですよ」兵学校へ行くと伝えてから、タマの昔話が多くなった司の幼い頃の話ばかり繰り返し話してはため息をつき、遠くを見つめ涙を溢すタマには身寄りがなく、自分が居なくなれば道明寺家から、暇を出されるかも知れない監視役として、司のことを一任されていたのに兵学校へ行くこ...

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50年目のラブレター 22 決意

今日は72回目の終戦記念日戦争によって奪われた、たくさんのかけがえのない命と大切な人達を守るために戦い散って行った英霊達に心から合掌し黙とうを捧げます======*========*===========兵学校は広島の江田島にあり合格の電報を受け取った者は11月半ばに、江田島倶楽部宿舎に集合5日間、島に滞在被服、靴の試着、二次体格検査、体力検査が実施され最終的な合否がようやく決まる難関を突破してきたの...

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50年目のラブレター 21 決意

「お帰りなさいませ」何とか三日目の試験も突破し、終着点が見えてきた疲れきった司は、自室に入るとベッドに倒れ込み何も考える気力も起きず、うとうと睡魔に誘われ眠りかけたときに、扉をノックする音で目が覚めた 「コンコン」「坊ちゃん、タマです、入っても良いですか?」「ああ・・」「入りますよ」倒れ込んだままでタマの話を聞いていた「タマは、いつでも坊ちゃんの御方です」「毎日、朝早くから、どちらへお出かけなんで...

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50年目のラブレター 20 決意

「坊ちゃん、そんなに勉強ばかりしていたら 身体に良くありませんよ・・・」「夢中になって勉強して、人が入れ変わったようです」「道明寺家の跡継ぎとして自覚が出て来たのは 結構な事ですが、根を詰めすぎると身体に毒でございます」「旦那様と奥様に、坊ちゃんが頑張ってらしゃる事を お伝えしないといけませんね」タマが、ニコニコ笑いながら司に話しかけると「バン!!!!」夕食を摂りながらタマの話を黙って聞いていた司がテ...

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50年目のラブレター 19 決意

8月某日全国各地に設けられた試験場へと向かう本当なら、兵学校より、機械術、整備技術を中心とした機械工学、科学技術、設計等のメカニズムを学ぶ海軍機関学校の方が、司の得意分野だが兵学校の方が早く昇進出来るのではと思い敢えて、兵学校を選んだ試験は、5日間連続で実施英語、数学、物理化学、国語漢文、日本史、作文の順に行われ午前中に試験を受け、夕方に発表見に行き合格した者だけ翌日の試験を受験出来る、ふるい落とし...

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50年目のラブレター 18 決意

復学する為、遅れてる学力を取り戻したいから家庭教師を探して欲しいとタマに頼んだ元々、司の学力は優秀で、休学中も、たいしてやることもなく、暇つぶしに独学していた海軍兵学校願書を送付して貰い、上半身裸の写真と一緒に送りかえし両親にこの事が耳に入ると大変な事になる幸い父親は妾宅に入り浸で邸には寄りつかず母親も、別荘で過ごしている自分に無関心だった両親を腹立たしく感じていたのにこの時ばかりは、そんな両親で...

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50年目のラブレター 17 決意

つくしは、司の大人びた感情に、あらぬ方向に暴走するのではと不安になりつつ、自分のせいで、彼の将来が苦難に満ちたものになるとわかっていた今まで、何不自由なく暮らしていた司が海軍兵学校に合格すれば、慣れぬ共同生活を送り厳しい訓練が待ち受け、戦地へと出陣命令が下るかも知れないならば、結婚出来なくとも、彼が生きてさえいればその想いだけで自分は前を向いて歩いて行ける死んでしまえば無になり、いずれ面影すら消え...

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50年目のラブレター 16 決意

久しぶりに逢う二人は、会話もなく司が歩く半歩後ろをつくしがついてゆき人気のない川べりに腰を下ろした司は何も言わず、夏の日差しでキラキラ光る水面を見つめつくしは、そんな司の儚げな横顔をちらりと見ると同じように水面をみつめた「つくし・・・・」「はい・・・・・」「聞いておきたいことがある」「今の俺は、まだ学生で、お前を幸せにする術がない」「だが、これから先、幸せにすると約束する」「俺を信じて待つことが出...

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50年目のラブレター 15 決意

つくしが置いて行ったラムネを握りしめ、邸に入りタマの姿を見つけた司は「どうして、俺が大事にしてるものを、片っ端しから取り上げる」声を荒げる事もなく、静かな口調でタマに詰め寄った「坊ちゃん・・・・」使用人がラムネを持ってきたとき、タマは、つくしが邸に来ていたと察しがつき、司の目に触れないよう、捨てろと指示したそのラムネを握りしめた司の拳は怒りに震え相手がタマでなければ殴り飛ばしていただろう幼い頃、両...

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50年目のラブレター 14 刹那

「タマ、つくしはいつ来る?」これで何度目かと言うほど、同じ事をタマに聞いてきた「坊ちゃん、つくしちゃんは、お家の事情で しばらく来れないと言いませんでしたか?」「だったら、タマが何とかしてやったら良いだろう・・・」「何をでございますか?」「だから、あいつの家の事情を片づけてやればいいじゃねぇか」「よそ様のお家の事にあれこれ言えません」使用人の中ではっきり司に物を言えるのは母親代わりのタマだけでタマ...