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Four×Four 19

「ねぇ、あの人、ほっといて大丈夫なの?」

「お前も、人が良いな」「殺されかけた奴の事、心配するか?」

辺りを確認しながら、司の車が停まってる場所まで
ようやく辿り着いた
下町には、不釣り合いな高級車のドアを開けて乗り込み
すぐ出発するのかと思っていたら、司は、エンジンをかけたままで
カーナビをじっと見ている

男は、後背から強烈な蹴りを入れられたショックから
その場でしばらく動けずにいた
骨折する程のダメージは受けていないものの
首筋に打たれたモノが何かわからないだけに
時間が立てば、死ぬのかと不安になり
とんだヘマをしてしまったと思わずにはいられなかった
つくしが警察官であることは知っていたが
後から、とんでもない男まで登場し、
追われる立場になって、消されるかも知れないと言う恐怖心もあった

辺りを見渡して、頭をプルプル振ると起き上がり
何度も手で、首筋を確認する
わずかに血が手につく程度で、身体に異変も無いことから
ただの脅しかもしれないと思う込むことにした
男は、ポケットから携帯を取り出すとタップして
パシリに使ってる組織の下っ端に迎えに来るよう連絡を入れていた

「ねぇ、さっきの注射器なに?」

つくしは、シートベルトを締めた後
恐る恐る司に、問いかけてきた
H&Pの事は、極秘で動いてた案件で
上司に知れ渡ると厄介な事になる、自らの保身と男が
どうなるのかが気になっていた


「あれは、マイクロチップ型の発信器だよ」
「あっち(米国)では、身体にチップを埋めて
 個体識別してるんだ」


「身体にチップを埋め込むことに一体どんな
 利点があるの?」

「チップの記憶容量は880バイトで、
 現時点ではキーホルダー型のICタグなんかと
 できることは同じだな」
「チップをNFC(近距離無線通信)リーダーに近づけると、
 個体識別情報が発信される仕組みなんだよ」

「リーダーのプログラムを組めば、ドアのロックを解除したり、
 プリン電子機器を起動させたり、
 色んなタスクをこなすことができるようになるとも言われてる」

「個体情報を記憶させておけば、身元確認も出来るだろう?
 犯罪者の指紋照合なんかより、
 的確に色んな情報を得られるかもしんねぇ」

「まぁ、倫理的観点から見れば、どうなんだ?とは思うけどよ
 10年先は、管理される時代に変わって行くのかもな」

「そんなの嫌だよ・・・監視されてるみたいでさ・・」

「便利になると、メリット、デメリットが出て来る」
「そう言うもんだ・・・」
「この国は、道路作るのには金を出すが
 テクロノジーには金を出さねぇ
 有能な科学者も、技術者も、海外に流失していってる」


つくしが、思っている以上に、
司は世の中の事に敏感だと感じていた
自分は、何も考えず、新設された部署に任命された事に有頂天で
先の事など考えもせずにいた
ぼーーーっと生きてきたのかも知れない・・・と
物思いにふけっていると、司が声をかけてきた

「飼い主目指して動きだしたぞ・・・・・」


ナビを見ると、点滅する赤い表示が地図上で動いている
男に埋め込んだ発信器が反応しだしていた
目の前で起こっていることが、映画の世界のようで
色々な、情報を知り得る司の過去が知りたくなっていた

ナビの点滅は、幹線道路を抜け、高級住宅地と呼ばれる辺りで
しばらく止まっていた
司が、ゆっくりと車を走らせ、
立派な門構えの家の表札を確認する

「白木哲夫・・・次期○理大臣候補って呼び声の高いオッサンだな」
 
「あの雑魚の飼い主だ・・・・」

「ええ?白木代議士って、凄く爽やかなイメージあるのに」
「何で・・・・?」

「政治家なんて、利権と我欲にまみれた
 オッサンと爺さんばっかだろーが?」

「・・・・・・・・・」

怪しまれないように、白木邸を通り過ぎ、
また、ゆっくりと車を走らせる
しばらく止まっていた赤い点滅が、また動き出した

「あっ!また動き出したよ!」

「二人目の飼い主んとこ行くんだろ・・・」

男を乗せた車が、司の車を抜き去ってゆく
運転しているのは、あの男ではない
後部座席は、真っ黒なフィルムが貼ってあり中は見えなくなっている
司の車は、法定速度に近いスピードで走り
ナビの点滅を追っていた
点滅が、白木邸から、さほど遠くない場所で止まる
司は、減速させて、家の表札を確認する

「戸川大輔・・・H&Pの社長の家だ・・・」

「訳がわかんなくなってきちゃった・・・」

「ふたりとも真っ黒だって事だよ・・・・」
「さっきみたいな事もある、戸川を追うのはやめろ!」

「でも・・・行方不明になってる
 田中さんの息子さんの事もあるし・・・・」

「まぁ、見てろ・・・そのうち動きだすからよ!」
「桜子に、探りを入れさせる・・・」

「ええ?!ダメだよ、あたしも狙われたんだよ危険過ぎる」

「お前って、見る目ねぇなぁ・・・」
「あの女は、したたかだ・・そう言うことは上手くやるタイプだよ」
「当分、桜子に近づくな・・・・・」
「わかったな」
「滋にも、そう言っとけ!」

司は、もう一度、車内から、辺りを見渡して確認すると
車を出発させていた
コインに表と裏があるように
世の中にも、表と裏がある
人から聞いた話が全て真実ではない
だから自分の目で見たモノしか信じないと言う司の言葉を
つくしは改めて思い出していた

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HNさま

こんにちは!
そちらは、雪かきが大変ですね
私の生息地は、吉本興業発祥の地でが
昨晩は、ちらちらと雪が降ってました
今朝、出勤するとき、クルマのフロントガラスが凍りついてました

私も、同じく!司様に守られて見たいにもんだわ

追伸

このお話が完結したら、今度は頑張って、Loveを書きたいと思ってます!
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