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鍾愛 67

どこでもいい。スマホで、ネカフェから一番近い不動産屋を
選んだのが悪かった
いつも、こうやって、ナンパしながら、商売してるのか?
部屋を仲介してもらうのだから家も丸わかり
それって・・・ヤバくない?
いや・・・ヤバいよなぁ・・・男が車を取りに行ってる間に
逃げようと思ったつくしは、バッグを手に持ち出入り口へ急いだ

「お待ちどおさま!車の用意が出来ました」

見てたのか?男が絶妙のタイミングで、
ニコニコしながら戻って来た
こう言うタイプって、断れば豹変しそうな気もする
何軒か、紹介してもらってから断ればいいか?
男に誘導されるまま、つくしは、車に乗った
着信拒否設定をしておきながら、
司から、電話がかかってきていないか
バッグに入れたまま着信を知らせるSNSを確認する
ない・・・・どうして、ここまで落胆するんだ?
未練がましい自分に嫌気が差す

「あのーう・・・聞いてました?私の話?」

「すみません。考え事してました」

客に対して、なんて言い方するんだ。接客業とは思えん!
感じが悪いと思いつつ、半日つぶれる時間が勿体ないけれど
仕方が無いと、つくしは、諦めることにした

「自殺、他殺、火事どの事故物件がいいですか?」

「あああぁぁぁ・・・どれと言われても」

「ですよねぇ。じゃぁ、まともなのにします?」

自殺、他殺、火事・・言葉にすると、どれもキツい
でも、断る言い訳にはなるか

「火事で、お願いします」

「了解!」

「1軒目、目指しまーーす」

はぁーっ。ツイてないと、つくしは、ため息を漏らすしかなかった

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RRRRRRRR

プゥープゥープゥープゥー

「繋がらねぇ。誰と話してやがんだ!あの女!」

仕事の合間に、何度も、つくしの携帯に電話をかけても話中
イライラしながら、司は、鬼のようにかけまくっていた

「西田、電話が繋がらない時、どうすりゃいいんだ?」

予定していた会食に向かう車内で、司が聞いてきた

「朝から、ずっと話中なんだよ」

何度目の電話だ。スマホを耳に当ててる相手は
つくしだろうと、西田は察しがついていた

「誠に、言いにくい事ですが、
 つくしさまが着信拒否されているかと思います
 GPSで追跡なさってはいかがでしょう?」

「着信拒否だとぉぉぉぉ!このオレ様に!」

初めて受ける仕打ちに司は、フリーズする
つくしに内緒で、「位置検索を許可しますか」の確認画面を出さず
常に許可するように設定しておいたGPSで、早速、追跡した
都内某所に居る事を知らせる情報が来る
部屋にいないのか・・・・なに、してやがる
連れ戻したくても、予定が、ぎっしり入っている司には無理だ
千恵子と会い話を聞き、きちんと把握してから
つくしに伝えて承諾を得て、ボディーガードをつけるつもりだった
ミスったな・・・俺としたことが・・・
GPSが機能している間は、大丈夫と思うしか無い
もどかしさと腹立たしさで、どうしょうもない感情が
押し寄せてきた

=============

「ここです。駅からは遠いですが、2DK家賃は
 管理費込みで4万5千円!」

スーパーも近い、自然も多い、築20年
前に住んでたアパートよりか見た目にはキレイなアパートを
案内され、室内に入ると、6畳の部屋と
同じくらいの広さのキッチン。風呂とトイレは独立している

「火事って?」

「事情は、わかりません」

「で、その方は・・・・」

「お気の毒ですが、亡くなられました」

「・・・・・・・」

「次、お願いします」

失恋で、へこんでるのに、事故物件を見て回ると
霊感0のあたしでも気持ちがリンクして重くなる

「大丈夫ですか?顔色悪いですよ」

当たり前でしょう
望んでないのに突然、人生が終わった人達の事を思うと
やりきれない気持ちになってしまう
商売で慣れてるのか?男は、平気そうだった
3軒目の物件についたあたりで、ドキドキしながらスマホを確認してみた
ハッと口元を押さえ、司から着信記録が残されている事に嬉しくなっていた

「ここは、いいですよ!12畳のリビング、6畳のキッチン
 テラスも広いですし、ただ、1ヶ月以上住んだ方は
 一人も、いらっしゃいません」

外から見ても、センスのいい外観。どんな事故物件なのか
つくしは、聞く気が失せていた
室内を見る気にはなれないと断って、
物件まわりを終わりにしてもらう
司からの着信をみたせいで、つくしの心が揺れていた
たった半日で、


司ロス


情けない・・・・会いたいよぉ・・・
そんな気持ちを、粉々にぶち壊す、ちょい悪オヤジの誘い

「そろそろお昼ですね。どっかで食べて帰りますか?」

「何でですか?」

「なんでって、お昼だから!お腹空きません?」

とことん軽い、この男。さっき、眼鏡を外した顔を見たけれど
物凄いイケメンだった
花沢類と西門さんを足して二で割ったような雰囲気で
モテるはずなのに独身なのは、女好きだからなのか?
この男と、お昼だなんて、勘弁だわ
まっすぐ事務所に帰るのかと思いきや
着いたのは、ファミレスだった

「疲れでしょう?どの物件になさるのか
 お昼でもたべながら、聞かせ頂きたいので・・・」

愛想だけは、ピカイチだ。苦手だ、こう言う男って
どうしても、硬派すぎる司と比べてしまう
強引な男に、どう接していいのかわからず
逃げ出す訳にもいかず、つくしは、渋々承諾していた

「止まった・・・・」

司は、絶えず、つくしをGPSで追っていた
なにやってんだ?あっちこっち、ほっつき歩きやがって!
取引先と会食中に、呟いた司の声を西田は聞き逃さなかった

「佐々木社長、申し訳ございません
 わたくし達は、中座させて頂きたく存じます」

西田が、土下座するように深々と頭をを下げた

「そうでしたな。道明寺さん、体調が悪いのに申し訳ない
 また、改めて、お会いしたい」

こんな事もあろうかと、西田が手を打っていた
司は、数日前から体調が悪く、何があっても、
顔だけは出しておきたい。ただ、最後まで、お付き合いする事は
難しいかも知れないと先方の社長に連絡を入れていた
司も、西田と言わんとする事がすぐにわかり

「申し訳ございません。せっかくお誘い頂いたのに
 私の不徳の致すところで、ご迷惑をおかけ致しました」

と、詫びる

「いやいや、身体あっての物種
 無理は禁物です。体調が良くなったらゴルフにでも
 行きませんか?」

「是非、声をかけて下さい。体調を万全にして
 お誘い、お待ちしております。それでは、失礼致します」

司の演技もなかなかだと、
相手に聞こえないように西田が、小さく鼻を鳴らす

=========
怒っている原因をはっきり言わないつくしに対しての怒りと
自分が傷つけた事を許して貰えるのかと言う不安を抱え
つくしを捕獲すべく待たせてあった車に乗りこんだ

ランチタイムの店内は、主婦らしきグループと
制服を着たOLが、お喋りに夢中だった
久しぶりに来たファミレスの騒がしさに
男と会話が弾まなくても気にしなくても良さそうだと
つくしは、ホッとする

「お待たせ致しました。ハンバーグドリアでございます」

高校生のアルバイトらしき可愛らしいウエイトレスが
注文した、ドリアを運んできた
なんなんだ、このシチュエーションはと
改めて思いつつ、チーズの香りが食欲をそそる
出来たてのドリアを男と一緒に食べ始めた

「で、気に入った部屋は、ありましたか?」

「はぁ・・・やっぱり事故物件は・・・・」

「で、しょうね。私もお勧め致しません」

つくしが、半分ほどドリアを食べ終えた頃

ピポピポピポ

フロアーに来客を知らせるアラームが鳴る

「いらっしゃいませ。何名様でしょうか」

スタッフの声を無視して、ハンターの如く店内を見渡す長身の男
ターゲットは、ただひとり

「チッ!居やがった」

「お客様・・・・」

スタッフの呼びかけに、うるさいと言わんばかりに
追い払い、ドカドカと大股で歩く司は注目を浴びていた

「説明してもらおうか!この男は誰だ?」

聞き覚えのある、低い声が、つくしの耳に、
すんなりと入ってきた。ヤバい!
条件反射の様に、目が泳ぐ

「ひゃっ・・・・なんで居るの?」

「なんでだと?俺が言った事、聞こえなかったのか?
 この男はなんだと聞いてんだよぉ」

「私ですか?不動産屋です。牧野さんのお部屋探しの
 お手伝いをしております」

「はぁ?」

「ですから、お部屋探しの・・・」

男が、スーツの内ポケットから名刺入れを出し
司に渡そうとした瞬間、つくしの手首を乱暴に掴んだ司が
椅子から引きずり出そうとする

「ちょっと、貴方、乱暴すぎるでしょ?
 嫌がってるじゃないですか!もしかして、DV彼氏とか?」

「あぁ。喧嘩売ってんのか、オッサン!」

司が、坐ってる男をキッと睨んで威嚇する

「いいから、来い!これは、こいつの分だ」

財布から、千円札を二枚を取り出し、
テーブルに叩きつけるように置いて
つくしを店内から連れだした

「道明寺司・・・牧野つくしと、どう言う関係だ・・・」

男は、司の事を知っていた。だて眼鏡を額まであげると
出て行った、ふたりの様子を店内から注意深く見つめていた
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