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鍾愛 70

ピィッピィッピィッピィ

毎日、決まった時間に鳴るスマホのアラームに
無理やり起こされたつくしは、ショボショボする目を擦りながら
隣で眠る司に視線をやった。
さすがに、真っ裸は刺激的すぎる。お陰で、シャキンと目が覚めた
そう言う自分も、あられもない姿だと気がついて、
昨日は、シャワーも浴びてない
臭わなかったかな?と、今にして
クンクンと腕の辺りの匂いを嗅いでみた

はぁぁぁぁぁと、ため息のような吐息を吐きながら
司が、寝返りを打ち横を向いた
肩の辺りの三角筋が程よく盛り上がって
セックスアピールが半端ない
この体と寝顔をどれだけの女の人に見せてきたんだろ

「起きてたのか」

寝起きの司の声は、聴き慣れたバリトンボイスより低い音域、
バスバリトンになる
カーテンを引いたままの部屋は薄暗いのに
薄らと瞼を開けた目は眩しそうに見えた

「おはよ。もう少し寝てても大丈夫だよ」

つくしが、声をかけると、一点を見つめた

「マウント冨士が、二つ・・・良い眺め」

「ええ?はっ!あああああああ!」

司の言葉で、咄嗟に腕を交差させ慌てて胸元を隠していた
司は、まだ眠いのかニャリと笑うと、枕に顔を埋めて目を瞑った
つくしは、脱ぎ捨ててあったパーカーを頭からスッポリかぶり
クローゼットから着替えを取り出しバスルームへ急いだ
シャワーを浴びながら、冷蔵庫に入っている食材を思い出し
弁当の献立を考える。卵焼きは外せない!定番のから揚げ
ブロッコリー・・・それとぉ・・・何があったっけ?
出てから考えるかと、シャワーのレバーハンドルをおろした


髪をガシガシ拭きながら、リビングに戻って来た
司は、ソファに座って朝刊代わりのネットニュースを
チェックしている
さすがだ!こんな時の司は近寄りがたくて
それでいて、かっこいいと見惚れてしまう

「朝ごはん、すぐ作るから」

「コーヒーだけでいいよ」

「昨日の晩も食べてないじゃない!」

「お前、今日、病院の日だからな」

「覚えてたの?」

「当たり前だろ!行かねえと職場復帰は無しだかんな!」

スマホの画面から視線を上げた司が、大真面目な顔で言ってきた

「引き継ぎしたら、仕事辞めろよ。約束したんだから
 お前の仕事は、俺の世話をやくこと。主婦も立派な仕事だ」

「わかってる。でも、ビルの掃除の仕事は続けたい」

「何で?」

「楽しいから」

「あのビルは、取り壊す予定だ。お前がいたから
 そうしなかっただけだ。外に出たいなら習い事でもすれば
 良いだろう?仕事する事だけが社会と繋がる手段じゃない
 ちょっと来い」

司の言ってることもわかるが、誰かに必要とされている実感が
つくしには欲しかった
自分は、実の両親にとって必要なかったのではないか
長い間、棘のように引っかかっていた事だった
司は、呼び寄せたつくしに、自分の膝をパンパンと叩いて
坐るように催促した
はじめの印象とは大違いで、やたらベタベタと
スキンシップをしたがる
顔をくっつけて、長い指先を絡めてくると口を開いた

「邸で暮らしてた時は、見送ってくれたり、
 出迎えてくれる人もいたさ。仕事としてな
 俺は家族が欲しい・・・お帰りなさいませじゃない
 お帰り・・なんだよ。何食べたい?何時に起きる?
 早く風呂入れとか、すぐそこにある
 温もりってか、息づかいってか、上手く言えねぇけど、
 俺がいなきゃ・・・守ってやらなきゃならない存在が
 俺にとって生きる意味なんだ。お金が欲しいんじゃない
 一緒に、生きて行ってくれる支えと温もりが欲しい
 わかってくれるか?」

「同じだね・・・あたしを必要としてくれる確かなものが
 欲しかったんだ。だから両親の借金を返してきたようなもん」

「そうか・・・よーーーし!わかったなら、
 とっとと引き継ぎして家にいろ!」
 

「・・・・・・」

「何だよ?文句でもあんのか?俺には、お前が必要
 お前にも、俺が必要!って事で話はついた。
 シャワー浴びてくる。それから、今日は、弁当はいらねえ
 取引先と会食があるんだ」

司は、ご機嫌でバスルームに行き
誘導尋問か?いや、泣き落としか?すっかり上手いこと
丸め込まれた感はある。でも、本気で結婚を考えてくれてる事が
つくしには、嬉しかった

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「まだか?」

「もうすぐだから、ちょっと待って」

司は、出社。つくしは定期健診に行くため
一緒に家を出る事になっていた
女の身支度は、どうしてこんなに時間がかかるんだ?
イラつきながら、司が玄関で待っている

「お待たせぇぇぇ」

「ずいぶん、気合入ってんじゃねぇか」

「そお?メイクしただけだけど?」

道明寺の血を引くつくしは、それなりに整った顔立ちで
素顔でも十分愛らしい
幼顔が、メイクをすると清楚さが際立つ
綺麗になった、つくしを見るのは嬉しいくせに
他の男の目を引くことが気に入らない

「してもしなくても、対して変わんねぇのに化粧なんかすんな!」
 
やきもちからくる暴言を浴びせられ、5分も待てないのか
器の小さい男だと、つくしは腹をたてていた
なのに司の手首につけられた、ロレックスを見つけると
腹立たしさもおさまっていた

「おはようございます」

マンションのエレベーター前で、運転手の柴崎が
ニコニコ笑みを浮かべて待っていた
福々しい柴崎は、司のお気に入りで
数少ない信頼のおける人物でもあり、安心して、つくしのことも
任せられた

「おはようございます。昨日は、ありがとうございました」

つくしに差し入れの礼を伝えると、
柴崎が、後部座席のドアを開けた
仕事が立て込んでいるのか、司の携帯が、
ひっきりなしに鳴っている
会食と言うのは嘘で、内緒で、つくしの両親と会う約束をしていたのだ
時間を確保するため、片付けられる仕事は、片付けておきたいと
電話片手に、ノートパソコンとにらめっこしている
30分程、都内を走り、社に到着。降り際に

「検査結果を連絡して来いよ・・・」と、つくしに言葉をかけた

「わかった。いってらっしゃい」

つくしは、渋々、返事を返していた

「柴崎、つくしの事、頼んだぞ」

「畏まりました」

つくしは、司の姿が見えなくなるまで
車内から見送っていた

「出発しても宜しいでしょうか?」

「はい。宜しくお願いします」

名残惜しそうな顔してなかったか?
恥ずかしくなった、つくしは、下を向いてしまった
ゆっくり走り出した車内は、司のあまいコロンの香りで満たされていた


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ここからは、拍手コメントお礼となります

HNさま

ご無沙汰です!
今から桜ですか!こちらは、昼間の気温は、27度超えてます
まだ、衣替えすらしてないのに夏近しい(・_・;)
ここまで長くなる予定がなかったので
端折ろうかと思ってます
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