FC2ブログ

鍾愛 82


久しぶりの出社で、気疲れしているつくしを
少しでも早く自宅まで送り届けるべく、
柴崎は、家路へと急いでいた

3車線ある道路は、渋滞もなく
柴崎は、車の流に乗って車線変更をした後
何気なく、バックミラーに視線をやった
あの車・・・さっき道を譲ってくれたよなぁ
要人が乗りそうな黒塗りの高級車が、
ピッタリと張りついているように思えた
まさか、つけられているのか?偶然同じ方向なのか?
尾行にしては大胆すぎる
柴崎は、ちらちらとバックミラーに目をやっては
様子を伺っていた

揺さぶりをかけてみるか?
まくのは簡単だが、つけられてるとなると話は別だ
こまめに車線変更し、急にスピードを上げて
信号が変わるギリギリのタイミングで交差点を通過した後
右折して、再度バックミラーに視線をやった
突っ込んで来たな・・・
思い過ごしではなく尾行されている
元刑事の勘とでも言うべきか
相手が誰なのか?柴崎は、確かめる必要があった

「何かあったんですか?」

柴崎らしからぬ荒々しい運転に、つくしが心配顔で聞いてきた

「申し訳ございません
 私が、強引に割り込んだので、後続車の気に触ったのでしょう」

その言葉で、つくしは後ろを振り向いた
中が見えないように濃いめのフィルムを貼った車内からでも
後ろの車が特殊な高級車だとわかる

「話をつけてきます。つくし様は、何があっても
 車から出ないようにして下さい」

「警察を呼んだ方が良いんじゃないんですか?
 危ない人かも知れないです。だってあの車、厳つくて
 如何にもって感じだし・・・」

「ご心配には及びません。喧嘩をしに行く訳ではないので」

後部座席に座るつくしを安心させる為、
ルームミラー越しに、ニコリと笑みを投げかけ
停車出来そうな場所を探す

相手を誘い込むには、交通量が少なく
そこそこの広さがあり一方通行でない方がいい
相手がわからないだけに、ひと目につかない狭い道路だと
袋のネズミになりかねない
何人乗っているかわからない事もあり
高架下の壁沿いに車を停めれば開くドアは片側だけ
自分ひとりでも防御出来ると考えた
土地勘がある裏通りまでおびき寄せるように誘導し
車を停めて相手の出方を待つことにした

「お嬢様。前の車が停まりました」

「みたいね・・・こんなとこに引きずり込んで
 ずいぶん、手間をかけてくれたわね。後ろに停めて頂戴」

みずきを乗せた車が、メルセデスのすぐ後ろに停車した
柴崎は、直ぐには降りずミラー越しに運転手の顔を確かめたが
見覚えはなかった

「あなたは降りなくてもいいわ。待ってて」

そう言うとみずきは後部座席のドアを開けた

「つくし様、絶対ドアを開けてはなりません
 何があってもです。いいですね」

念を押すように言うと柴崎も
運転席のドアを開け、外へ降り立った
みずきは、靴音を響かせながら近寄ってきて
突き刺すような冷たい視線浴びせた
柴崎は、みずきを刺激しないように
つくしが乗る後部座席のドアの前を塞ぐように立つと

「ご用件は、なんでしょう」と、たずねた

「あなたには用はないの。後ろに座ってる女に話があるの
 呼んで下さらない?」

「・・・・・・・・・」

「聞こえなかったの?女を呼べと言ってるんだけど」

「・・・・・・・・・」

「あなた、こんな事してただで済むと思ってんの?
 私が誰だかわかってて、失礼な態度をとってる訳?」

「ご用件なら、私がうけたまわります」

「あなたじゃ話にならないんだけど」

みずきがヒールの踵をアスファルトに叩きつけて苛立っている
車内からでは。柴崎が何をか話しているかわからない
いつもの温厚な彼ではない別人のような横顔に
目の前で起こっていることが、ただ事ではないと
つくしにも想像がついた。司に連絡をした方がいいのか?
バッグからスマホを取り出し、タップすれば、
すぐ繋がるよう、司の番号を表示させたまま
みずきとのやり取りを見ていた

「埒があかないわね。どいてちょうだい」

みずきがドアノブ手をかけようとした瞬間
柴崎が、その手を捻り挙げた

「痛い!何するの!離しなさい!失礼な!」

「お嬢様!」

みずきの運転手が顔色を変えて大慌てで外に出てきたのに
柴崎に、ジロリと睨みつけられると
目をそらし、その場に立ちすくむだけだった

「あなたが、身勝手な真似をなさるからです
 こちらは、あなたに用はございません」

柴崎は、捻り挙げた手を投げ捨てるように振り下ろして言う

「失礼させて頂きます。これ以上、尾行なさる用でしたら
 然るべき措置をとらせて頂きます」

みずきが、キッとした表情を浮かべて
上げ足を取るような言葉を吐く

「然るべき・・・ふーーーん。然るべきねぇ
 私は、司さんのフィアンセなの
 その車、私のなんだけど、どうして知らない女が
 我が物顔で乗ってるのかしら?然るべき措置って言うなら
 その女の方でしょ?」

「・・・・・・・・・・・」

バシッ

柴崎が、みずきに平手打ちを食らわされ驚いたつくしは
後部座席のドアを開けようとガタガタさせていた

ドンドンドンドン

「柴崎さん、開けて!開けて下さい柴崎さん!」

つくしがウインドガラスを叩いて叫んでいる

RRRRRRR RRRRRR

「俺だ」

「柴崎さんが・・・柴崎さんが・・・」

「柴崎がどうした。落ち着け!何があった」

「女の人とトラブルになって・・・・・・」

「女?誰だ?」

「わかんない。車を横入りしたから怒って
 後を追いかけられて・・・それで・・・それで
 柴崎さんが、顔を平手打ちされて・・・」

「いま、どこにいる?」

「わかんない」

つくしは、トラブルになっている女が
みずきだとは気がついていなかった

「柴崎に代われ!」

「開かない・・・窓が開かない」

「ロックかけてんだな。大丈夫だ。心配するな
 柴崎は、ああ見えて、元刑事だ。下手打ったりしねぇから」

「でも・・・・警察に連絡した方がいい?」

「お前は外に出るな!わかったな!」

柴崎なら、上手く立ち回れるはずなのに
つくしが動転して自分に助けを求めて来た
女とトラブル?みずきか?
司は、即座にみずきの事が思い浮かんだ

「何様のつもりか知らないけど
 そんな事できるの今のうちだけだから
 司さんと私の婚約は、すでに決まっているのよ
 くつがえす事なんてできないんだから・・・
 馬鹿よねぇ。あなたも。言う事聞いていれば
 いいものを、歯向かうなんて・・」

自信たっぷりに、みずきが冷笑を浮かべる

「もう、どうする事も出来ないの
 司さんは、私と結婚するしかないのよ。行くわよ
 何やってるの!さっさとドアを開けなさい!」

「は、はい・・・ただいま・・」

固まって立ちすくむ運転手に向かって
みずきは、ヒステリックな怒鳴り声をあげながら
後部座席座のドアを開けさせた

柴崎も、みずきが後部座席に乗り込むまで睨みつけている

「出しなさい」

「かしこまりました」

みずきを乗せた高級車が、ゆっくりと走りだす
すれ違いざま、つくしが乗るメルセデスの後部座席に
視線を移すと、みずきは勝ち誇ったような笑いを浮かべていた
事なきを得た・・・
フーッと深い吐息をついた柴崎は、みずきの車を見ながら
ホッとして運転手席に乗り込んだ

「大丈夫ですか?」

泣きそうな顔をしたつくしが
ハンカチを手渡してきた
不意打ちをくらい、頬を殴られ少しだけ唇から血が滲んでいる

「これしきでは傷のうちには入りません
 怖い思いをさせてしまい申し訳ございませんでした」

「出なくてもいいんですか?」

「はい」

さっきから、柴崎のスマホがひつこく鳴り響いている
相手は誰だか判っていた
つくしが居る手前、詳しく話すことも出来ないと思い

「つくし様に、お怪我はございません
 お騒がせして申し訳ございません
 後ほど御報告させて頂きますよ」と、

司にメールを送信した後、みずきが走り去った
反対方向に向かって出発した
事は、司の思いとは違う方向に進み出していた


=============

更新します詐欺になってしまいました。
ごめんなさいm(_ _)m

==============

ここからは、拍手コメントお礼となります

と**も様

こんばんは。お礼が遅くなり申し訳ございませんm(_ _)m
いつも、お気遣いを頂き、素敵なメッセージを
下さり、癒されました。ありがとうございます
先日亡くなった子も、数日前までご飯を食べていたので
まさか!と思い病院へ走りました
何もしてやれず後悔が残ります

============

ま**ん様

初めまして!お礼が遅くなり申し訳ございませんm(_ _)m
コメント頂き、ありがとうございました
2ケ月前に見送ったばかりで、また急に・・・どうしてこんな事にと
ショックです。シニア猫ちゃんで
もしかしたら、かなりの高齢だったかも知れません
ご飯をたべなくなって、あっと言うまでした
お悔やみと励ましの言葉を頂き、本当に、ありがとうございましたm(_ _)m
スポンサーサイト

Comment

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • Ranmaru*
  • URL
Re: No title

 み***ん様

ご無沙汰です!
心優しいコメント頂き、ありがとうございます

獣医さんには、1週間は持たないと言われ
積極的治療は、苦しみを長引かせる結果になりますと
やんわりと反対されました。
高齢だったので、慢性的な腎不全から尿毒症になりました
最期は苦しそうで何もしてやれなかった事が悔やまれます

女狐みずき、気合い入ってます!
密かに、司の追っかけ設定です(笑

Leave a Reply