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鍾愛 86

予約が取れないと言われた
超一流ホテルメープルは
かつては、政財界、著名人の令息、令嬢達が
このホテルで華燭の典を挙げ、
メープルに宿泊できるようになれば立身出世の
代名詞のように言われていたのも過去の話になってしまった
今では、クオリティの低下と
相次ぐテナント店舗の撤退で一流の呼び名も
危うくなってきている

人もまばらなエントランスフロアーで
滋とみずきの火花の散らし合いに客達は、
眉をひそめながらも聴き耳を立てていた

「滋。そんなの相手にしねぇーで、こっち来い!」

いつもよりワントーン低い声で司が声をかけた
ことの成り行きを見ていた支配人が言い訳をしに
大慌てで司の元へやって来て、ハンカチを額に当てて
脂汗を拭きながら、緊張のあまり瞬きの回数が増えている

「司様・・・大変失礼致しました」

「お前、なにやってたんだ。客商売なのに周りに迷惑かけて
 謝る相手が間違ってんじゃねぇーのか?」

ドスをきかせて小声でぼそっと呟くと
支配人をジロリと睨みつけた

「申し訳ございません」

「司さーん!」

司の姿を見つけたみずきが
冷戦状態の滋をおいてけぼりにして
満面の笑みで駆け寄ってきた

「つくしと類はまだか?」

みずきの存在を徹底的に無視をする司の口から出た言葉は
つくしの名前。みずきは、嫉妬心で顔を歪ませ
それでも、動揺する気持ちを必死で抑えようとしていた

「司さん・・・もうすぐお母様と父が参ります
 私達は先に・・・」

司は、視線すら合わさず
みずきの事を道端の石ころのように無視した

「司、早かったね。つくしは?一緒じゃないの?」

「柴崎が連れて来る」

「西門さん、美作さん、ご無沙汰!」

「よお!ご無沙汰!」

手を振りながら歩いて来た滋がみんなと合流した

「て、訳だから、みずきさん!ごきげんよーう!」

ざまぁーみろと言いたげな顔で
みずきにしてやったりな滋に、総二郎が
あきらの耳元で呟いた

「なっ!俺の言ったとおりになったろ?」

あきらが、ちらりと総二郎を見るとふんっと鼻を鳴らした

「あっ!つくしぃ!司、つくしが来たよ!」

入り口に背を向けて立つ司に教えるように滋が声をかけた

「ここだ!」

司は振り向いて右手をあげた

「ごめーん。遅れちゃった?」

「いいや、8時ジャストだ」

見せ付けるように、つくしの肩を抱いた
みずきは立ち尽くし、怒りで唇を噛みしめ、ズカズカと
つくしの前まで来ると、バシッと平手打ちをした
不意を突かれたつくしは、よろけて司が囲い込み
後ろに居た、総二郎とあきらに手渡した

「なにすんだ、テメェ-!こんな事して
 ただで済むと思ってんのか!えぇぇぇ!」

怒りをあらわにする司が、みずきの前に立ちはだかると
般若のような恐ろしい顔で、にじり寄って来た

「つ、司様・・・・」

支配人が青ざめて止めに入り、
総二郎とあきらは、つくしを囲むようにガードして
つくしを送って来た柴崎は、司の真後ろで何かあれば
押さえ込める態勢をとっていた

「この女を警察に突きだせ!」

わなわなと震えるみずきに、司は追い打ちをかけた
つくしは見ていられず、止めに入ろうとしたが
右手をあきらに掴まれ、行ってはいけないとかぶりを振った

「聴こえなかったのか!警察を呼べと言ってるんだ
 柴崎、支配人は、なんにもわかっちゃいないようだ 
 説明してやれ」

「人の身体に、傷害に達しない程度の物理的な暴力を加えるのは
 刑法第208条が禁じ、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金 
 または拘留もしくは科料に処せられる暴行罪にあたります」

「わかったか。この女は、つくしに暴行を加えた
 だから警察に引き渡すんだよ」

「しばらく・・・いましばらくお待ち下さい」

みずきは、楓の客でもある
支配人は、司と楓の板挟みで、どう対処していいのかわからず
時間を稼いで楓の到着を待つしかなかった
みずきは、泣き出し、滋は、バカな女だと見下していた

コツコツコツコツ

楓の到着を知らせる独特の靴音がエントランスフロアーに
響き渡る。みずきは、楓に駆け寄って縋りつき慈悲を求めた

「なんの騒ぎです」

泣くみずきと司に支配人。真後ろには柴崎がいる

「それは、こっちの台詞ですよ。あなたも落ちぶれたものだ」
 
「どう言う意味かしら」

「とうとうまがい物にまで手を出すようになった」

楓は、キッと司を睨みつけた後、
支配人に耳打ちをする。引退宣言をしたとは言え
みずきは人気女優。居合わせた客にムービーでも撮られて
SNSで拡散されればたまったものじゃない
それとなくチェックするように指示をだしていた
みずきの父敬一には、VIP専用出入り口から
入って来るように伝えていたことが幸いした

「行くぞ!用は済んだ」

司が背を向け、総二郎達の元へ歩いてゆく
柴崎が楓に一礼して司の後に続いた
総二郎、あきら、滋、柴崎に守られるように取り囲まれ
去っていくつくしの姿を見つけた楓は、
突き刺すような視線を送ると
カツンとヒールの踵をフロアーに叩きつけて
泣きじゃくるみずきを支配人に託して司の後を追った

=============

ここからは、拍手コメントお礼となります

こ**る様

おはようございます
お返事が遅くなり申し訳ございません

そう言って頂けて、感謝の気持ちでいっぱいです
卒業は、全ての話が完結してからなのと
最後に、あまぁーい話を書いてからになりそうです
もう少し、お付き合い頂けたら幸いです
サイトのことですが、駄文を放置するのも・・・と、思ったり
もしかしたらしばらくの間、残しておくかも知れません
素敵なコメントを頂き、ありがとうございましたm(_ _)m
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Comment

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  • Ranmaru*
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Re: No title



 瀬*様

こんにちは。
お返事が遅くなり申し訳ございません

蒸し蒸した暑さは不快ですけど
少し肌寒いくらいですので丁度いいかも?
司を取り返す為に、つくしが奮闘します!

瀬*さんには、普段聴けないようなエピソードの数々を
お話頂いて、興味津々でした
特に印象に残ってるのが初恋のお話
切なくて、胸に響きました
卒業と言っても、完結してない話もありますので
もうしばらく居座る予定です
引き続き、お付き合い頂けたら幸いです
ありがとうございました







👋😃😭😉

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