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ロミオ 最終回


取りあえず、あたしは西田さんの携帯にメールを入れてみた

「奥様から返信がございました」

ここは豪華な特別室。イライラしてキレそうな司の元に
タイミング良く西田の携帯が鳴った

「ほら見ろ!大慌てしてやがる。読んでくれ」

腕組みしながソファに腰をおろし、余裕綽々で
しまりのない顔をしながら期待に胸膨らませている

「かしこまりました」

件名 「お世話かけてます」

「主人が倒れたと聞いて、びっくり致しました
 ご迷惑をおかけして申し訳ございません」

「フムフム・・・で・・・続きは?」

「続き?これだけでございます」

「んーなワケねぇだろ?携帯よこせ!
 俺を心配する言葉がひと言も書いてねぇ!」

「それは仕方ありません。司様は、絶対安静と言う
 設定ですから、奥様なりに気を使われたのでしょう」

「なら、その設定外せよ!小康状態に変更しろ」

「お言葉を返すようですが、風前の灯火で小康状態ですか?」

「なんだよ。文句あんのか」

「小康状態と言うのは、やや持ち直して現状維持の状態を
 指しますが、風前の灯火と言えば、余命幾ばくもないとも
 とらえられます」

「うっせぇ!どっちでも良いだろう」

「設定は打ち合わせしておきませんと、
 奥様は勘のいい方です。最悪、緑の紙が届くかも知れません」

「緑の紙?」

「離婚届です
 最近は、ウェブサイトでダウンロードも出来るとか」

「お前は、どっちの味方なんだ!」

「敵も味方もございません。事実をお伝えしたまでです」

「あぁぁぁぁぁ。頭痛くなってきた。医者呼べ」

言われた通り、西田がナースコールのボタンを押した

「どうされましたか?」

「頭痛がするようなのでドクターの診察お願いします」

すぐ行きます。と、明るい返事がスピーカー越しに聴こえてきた
病室に入って来たナースが血圧を測り体温計を手渡すと
司は、憮然とした表情で素直に脇に挟む
その姿を見た西田は、咳払いをするふりをして
必死で笑いを堪えていた

「血圧は正常値に下がってますね。微熱がありますけど
 気分が悪いとかないですか?」

「気分?悪いに決まってるだろぅ!」

「ムカムカ感があるんですね」

「ムカムカし過ぎて血管ブチ切れそうだ」

「血圧は正常なんですけどね。もうすぐ先生が来ますから」

===========

「おーーーぃ。牧野!どうした」

美作さんが、LINEで呼びかけてきた

「今、西田さんからメールが来て、熱出てるみたい」

「鬼の霍乱ってやつか?」

「お子ちゃまだから、知恵熱じゃねぇ?」

「どうするの?帰るの?」

「入院してるらしいんだ」

「えっ?熱で入院してんのか?どーせ、仮病だって
 さっきまで、ポエム送って来てたのに、その手は司のデフォだな」

「仮病でも何でも、西田さんに迷惑かけてるわけだから
 ほっとくワケにいかないでしょ」

「夫が妻に依存する妻コンってのが流行ってるらしいぜぇ
 司も、それだなぁ(^з^)-☆Chu!!」

美作さん、西門さん、花沢類がレスしてきた後
さっき来た司のメールを投下してみた
なにせ彼らは幼馴染み。あたしより、司の習性を知ってたりする

件名 「俺はもうだめだ」

「熱が出てきた。意識が朦朧とする中、お前に最後の言葉を残す
 医者は、ハッキリ言わないが、多分、俺は長くないだろう
 富士の病ってやつだ。お前は港だ。そして俺は、ゆらゆらと
 揺れる小船だ。いつもお前の大海原で護られていたからこそ
 生きて来れたんだ。その大海をなくした今、無防備すぎて
 俺は今、ウィルス攻撃を受けて、身も心もボロボロの難破船に
 なっちまった。夕陽が沈むと同時に、俺も冷たい海の底に沈む運命だ
 なぜなら、帰る港がないからだ
 俺が助かる方法がたった一つだけあるのを知ってるか?
 お前と言う港に護られてオブラートに包まれる事だ
 心から愛してる・・・・帰れる港を待っている」

「これ、今きたのか?司ワールド炸裂してんな
 確か、俺は穢れも曇りもない海だって言ってなかったっけ?
 いつから小船になった?
 あいつなら、最新兵器積んだ武装船だろ?」

西門さんの言うとおり。難破船どころが破壊力抜群な
武装船なのは確かだ
 
「突っ込みどころはそれだけじゃねぇって!
 富士の病ってなんだ?不治の病じゃねぇの?
 熱出てるから、ウィルス攻撃かよ(゜ロ゜;ノ)ノ
 オブラートって・・・司は期待を裏切らない男だぜ!」

オイオイ感でレスを返して来たのは美作さん


「オブラートで包んだら溶けるんじゃない?」

花沢類は、真面目にレスを返したらしいけど
これには、みんな大うけしてた。あたしもだけど。ぷぅ

「今は、溶けないだろーよ。大海原のオブラートじゃなく
 布団に包まれてるからよ!溶けようがないって」
 
「とりあえず病院に行ってくる」

「○○大学病院だったよな?俺らも行くよ
 富士の病だから、元気にうちに顔みとかねぇと!
 類もあきらも行くだろ?」

「ついて来てくれるのは、心強いんだけど
 絶対、変なこと言わないでよ」

「わかってるって。ポエマーの事を触れなきゃいいんだよな?」

一物の不安がよぎりながら
美作さんにネカフェまで迎えに来て貰って
あたし達は、一路病院へ急いだ

============== 
「○○号室 ここだな」

「特別室か!仮病なのに金の無駄遣いしやがって」

司の病室の前で長身のイケメン3人に囲まれたあたし
華やかな男達の来院で、ナースステーションが賑わっている

「いい、西門さん。メール投下したことバラさないでよ」

「了解!」

コンコン

「よーう。司!見舞いに来てやったぜ
 お前の可愛い愛妻も連れて」

ベッドに寝ていた司が、顔だけ扉に向けて視線を送ってきた

「見たか?あの嬉しそうな顔」

美作さんが小声で、あたしに耳打ちする。やれやれ・・・・
思ったより元気そう。ほんとは、ちょっと心配してたんだ

「何しに来た」

「だから見舞いだって」

何だかホッとした途端、司の言い草に、
あたしは、沸々と怒りが湧いてきたのよ
反省してない!何が小船だ!帰れる港だ!
舐めんじゃねぇーぞ!司ぁぁぁぁぁっ

「帰れよ!」

「あっそ!何?その言い方。みんな心配して来てくれたのに
 帰れって言ってるから、帰ろう・・・」

「ちょっと待て!お前は帰るな」

「今、帰れって言ったじゃん」

「コイツらに言ったんだよ!」

「後は、ヨロシク西田さぁぁぁーん!
 あたし、やっぱり逃亡します!」

「待ちやがれ!ブス!」

「そのブスにプロポーズしたの何処の誰よ
 それなら、あんたの気に入る嫁貰いなさい。さよなら~」

「クソッ!あの女!ただじゃおかねぇぇぇぇぇ」

「リアル鬼ごっこおっぱじめたぜぇ」

「ここは、病院ですよ。静かにして下さい」

看護士さん、入院中のみなさん、ごめんなさぁぁぁい
廊下を必死で逃げるあたしの後ろを
闘牛の様な司が追いかけてくる

「あらららららら。逃げ切れるっかなぁ?」

「さぁなぁ・・・あいつら、来年30と29だぜぇ」

「当分、ガキ作んのは無理だなぁ」

「溶けてなくて良かったね」

「ぶはぁ。全くだ」

「港が逃げたら、武装船も停泊出来ねぇわなぁ」

「助けてぇぇぇぇ!花沢類!」

「何で、類の名前を呼ぶ!テメェのダンナは誰だ!」

「追いかけてくるなぁ!あんた、不治の病なんでしょ
 入院してなさい!」

「お前の顔みたら治った!逃げ切れると思うなよ!」

「ほっといて良いんですか?西田さん」

「翌日には、司様の機嫌もなおっております
 ご足労頂きまして、ありがとうございました」

「そう言う事か・・・可哀想になぁ
 今から牧野が野獣に食われるのか・・・」

「食われねぇと機嫌直んねぇんだからしょーがねぇ」

「鬼ごっこして、楽しそうだね。あいつら見てると
 結婚って良いかも?って思うよ」

「マジか?類も、司に負けず劣らず変わってっから」
 
「ぎゃぁぁぁぁ・・・・・・」

「あの叫び声は、ジンベエザメ確保だな!」

RRRRRRRRRR

「西田か?退院するから手続きしといてくれ
 俺は、つくしと邸に帰っから」

「かしこまりました。お疲れさまでした」

「さてと、俺らも帰んぞ
 報告がてらLINE落ちしたミジンコ誘って飲みにでも行くか?」

「そうだな。滋が心配してLINE来てたしよ」

「今回の痴話喧嘩は、面白かったよな
 司のポエマーぶりに、笑わせてもらったし
 やっぱ、牧野しか、司の嫁は務まんねぇ」

「今頃、牧野は捕食されてんのかなぁ?」

「まぁ、ジンベエザメだから、逃げ切ってるかもな」

「いくらジンベエザメでも、武装船には手も足も出まい!」

「ぶはぁはぁはぁはぁ」

こうして、あたしの逃亡は、呆気なく幕を下ろしたのであった
グスン・・・・・
 
=========

ここからは、拍手コメントお礼となります

lemmmon様

ロミオメールは面白いよ
ジュリメールはあんまり見ないけど(ネットで)

すてらさん

植村大尉の事は、随分昔に新聞記事になったので知ってました
25歳の若者とは思えないですよね
こんな悲しい事は二度と起こって欲しくないです
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  • Ranmaru*
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Re: 司ワールド

 ゆ*の様

ご無沙汰しております
コメント頂き、ありがとうございました

転職も賭みたいなもんですよね
やりがいがあっても、人間関係が最悪なら続かないし
一番は、人間関係が円滑に行く事だと実感してます
資格が取りたくて、転職したんですが
色々ある職場です(汗
来週で、一ヶ月目。なんとか乗り切りたい
ゆ*の様も、ゆっくり時間かけて吟味して下さいませ
お馬鹿な司も大好きです
まだまだ残暑が厳しいので、ご自愛下さいませ
ありがとうございました!

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