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鍾愛 114

「どうします?」

浮かない顔で戻って来た柴崎に
如月は、いきなり地雷を投げつけて来た

「内緒にしとくってのもマズいでしょ?
 すぐバレちゃいますし」

「お前は、脳天気だな・・・」

「一日考えるよ。まぁ、お前が言った通りになるとは思うがな」

柴崎が考えるっと言ったのは、
つくしの事になると冷静さを失う司の事が心配だったからだ
4課の間島も現場に顔を出しているうえ、発砲騒ぎもあった
報告すれば、即座に司が乗り込むことなど安易に想像がつく
道明寺HDが岐路に立たされている今、司を追い込むような事は
耳に入れたくないのが本音だった
社に戻り、海藤邸に変わった事は無かったとだけ報告をした
司に凝視され冷や汗が出たが、如月が、動じる事無く
落ち着いた態度を崩さなかった事に助けられた

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窓に近寄るなと一之瀬から言われていたつくしは
それを無視して、カーテンの隙間から外の世界を眺める事が
唯一の楽しみになっていた
あの車、ずっと同じ場所に停まってる。人も乗ってるし・・・
黒いセダンが停まっている事に気がつくと、
フランを呼び寄せた

「いい、この匂いを覚えて」

司の着ていたシャツをフランの鼻に近づけて覚えこませていた
海藤と一之瀬が寝静まる夜中なら、フランを勝手口から放せる
優れた嗅覚で司のもとへ辿り着けるかも知れない
首輪に手紙を挟めば
司にメッセージが伝えられると漠然と考えていた
司は司で、柴崎らしからぬ歯切れの悪い報告が気になっていたが
何も言わずにいた

数日後の午前0時。つくしは、フランを連れて部屋をでた
音を立てないよう慎重に歩き進めてゆく
屋敷は廊下もカーペットが敷き詰められているお陰で
カチカチと鳴る爪音が吸収されて好都合だった
この日を選んだのは、気温も関係していた
湿度が高いと、汗をかかない犬はパンティングで体温を下げる
その息づかいで気づかれるかも知れないと思ったのと
フランの体調を気にしての事だった
風もある、気温も湿度も低い。今日しかない・・・

「どうか奇跡が起こりますように。フラン、お願い」

そう言葉をかけてから
一緒に勝手口から庭に出たつくしは愕然とした
高い門扉はセキュリティ管理されていて出口がない
そこまで考えていなかった事に思考が停止してしまい
ぺたりと座り込んでしまった

大丈夫、着いてきてとフランがつくしの肩を
ツンツンと鼻で突いてきた
植え込みの垣根に誘導すると、今度は、服を引っ張って
そこで待っててと言いたげに引き止めた
フランは姿勢を低くすると穴を掘り何度か掘った事があるのか
土は柔らかくあっという間に、抜け出せる空間が出来ていた
嬉しくなったつくしが、近づこうとすると
また、服を引っ張って来た

「行っちゃダメなのね?わかった。ここで待ってるから」

後でわかった事だが、内壁に赤外線センサーが仕掛けられていた
フランが何故知っていたのかはわからないが
彼女の気転で難を逃れたのは言うまでもなかった

最近の司は、広野と行動を共にする事が多くなっていた
その日も、一緒にミスティで飲んだ後、夜なら大丈夫だろうと
少し離れた場所にタクシーを待たせて海藤邸の様子を
見に行くことにした
夜中の街は靴音ひとつでも、響き渡る静寂に包まれていた
夜空を見上げると大きな満月が雲の切れ間に見え隠れし
酔い醒ましには丁度良い風が吹き
切れかけた街灯が高級住宅街には不釣り合いな
無風流さを醸し出している
ついては消える灯の下に何かがいる事に気づいた司は
目を細めて焦点を合わせた

「犬か?化け物だけは勘弁してくれよ」

こんな時間に出くわすなんてと独り言をつぶやきながら
近づいていった

「やっぱり犬か!脅かすなよ
 こいつ・・・・海藤んちの犬か?」

フランだった。お坐りしてボンボリのような尻尾を懸命に振っている

「シッシッあっちいけ!いや、家に帰れ!何時だと思ってる」

訳のわからない会話をしながら追いはらおうとしていも
フランがまとわりつくように司に絡み出した

「あっち行けって言ってんだろ!俺は犬が嫌いなんだ!」

フランの猛アピールで、首輪に挟んであった白い紙に目がいった

「なんだ?咬むなよ。大人しくしとけ」

恐る恐る抜き取る様にして紙を奪い広げてみた

「無事です。元気です
 どうか、あたしの事は忘れて下さい。ありがとう」

つくしからのメッセージだった

「やっぱり、海藤の所にいたのか・・・」

名刺の裏に返事を書いている隙にフランは消えていた
司は、海藤邸に向かって走りだしていた
息を切らせて夢中に走った先には
目の前にそびえ立つ高い壁を見上げられる様にして
一台の車の車が不自然に停まっていた
真っ黒な夜に灰色のタバコの煙が流れていくのが見えた

「人が乗ってるのか」

車に何人乗っているかもわからない
覆面パトカーだと知らない司は、
海藤がつけた見張りだと思い込んでいた
こんなことなら、柴崎と如月を連れてくるべきだったと後悔した
仕方ない。多勢に無勢の可能性もある
今日は引き揚げるか・・・
つくしが無事で海藤邸に居るとわかっただけでも良かった
相手に気付かれないよう、司は、そっとその場を離れた

「帰ってきた!」

真っ先に、首輪を確認する
メモがなくなっている。落としたのか、誰かに奪われたのか
まさか、司が受け取ったなどあり得ないだろうと思っていた
無謀な事は承知の上。フランが無事戻って来ただけで良かったと
胸を撫で下ろしていた
翌日になると、海藤邸の家政婦湯川が消えていた

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ここからは拍手コメントお礼なります

ま**ん様

こんばんは
拍手コメント頂き、ありがとうございます
ほんと。もっと懲らしめてやるべきでした(笑
でも、方法が思いつかなかった(_ _ )/ハンセイ
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