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鍾愛 125

署に戻った田中は、片っ端から保健所に電話をかけていた
指定都市20市、中核都市54市、政令指定都市に6市
全てアポを取るには根気の要る作業でもあった
同僚達が現場から戻り雑談に講じているのが邪魔になって
片耳を押さえながら、かけ終えた所は
マーカーで消してゆく
これで何件目だろう・・・間島の勘が外れていたのではないかと
思うほど空振りに終わっていた

主犯とされている加藤清も、黒幕が誰なのか口を割らない
歩き方に特徴のある男を知ってるかと訊いても知らないと答えていた
取引を三島に持ちかけた人物が必ずいるはずだ

彼らは、組に席を置く個人事業主
食いぶちは自分で見つけなければならない
稼いだ金を会費(上納金)として納めるシステムになっている
会費を多く払う者が出世していくのはいう間でもない
一流大学出の経済ヤ○ザは、頭を使い、株や不動産で
のし上がり
かつて、夜の街の用心棒、恐喝、賭博と彼らにも
稼ぐ術もあったが不景気の煽りは
反社会性的勢力に身を置く者達にも影響を及ぼしていた
クスリが主婦や、サラリーマン、学生達の間で
身近に手に入れられるようになってきたのは
一番身の入りのいいシノギ(資金調達)として
蔓延しているからだった
あのクラブも、そうした取引の場として利用されていた

「ダンナ。親父は体調悪くて入院中なんですよ」

雲隠れした三島に話を訊くため間島は病院を訪れていた
病室前にはバリケード代わりに柄の悪い男達が居座っている
制止を無視した間島がドアを開けようとすると
ギョロリと眼で威嚇してきた

「心配すんな。ただの見舞いだ
 それとも何か・・・公務執行妨害扱いにしてやってもいいぞ」

男たちは口ごもって一斉に眼をそらせた
スライド式のドアを開け中に入ると
若い女が付き添っていた
結婚して妻子が出来るとアキレス腱になると言う理由から
独身を通す組長も多い。その代わり何人もの愛人がいたりする
お約束のシチュエーションに、間島は、チラリと女の顔を見た
女は察して、席を外し、間島は、三島のベッドの横にある
椅子に腰を落ち着けた

「よーう」

間島が声をかけた

「間島さん、ご無沙汰してます
 しばらく見ない間に・・・・」

「人相が悪くなっただろ?聞き飽きたよ」

「昔は、刑事にしておくには勿体ないくらい
 男前だったのに、いつの間にか、それなりになって来ましたね」

「そうだよ!おまえさんらを相手にしてたら人相も変わるんだ」

「何の御用ですか?」

「見舞いだ」

「ちょっと風邪をこじらせて念のために入院です」

「あんたんとこの関係者がお縄になった事は
 知ってるよなぁ・・・・」

「・・・・・・・」

「そこらの男より筋を通す女で口もかたい。たいしたもんだ」

「勝手にやった事です。俺は知らん」

暴○団の組織はピラミッド階層のようになっている
一次団体の幹部がその組を離脱する事なく
自分の組を持つことを許されれば、
その者は二次団体の組長になる
さらにこの二次団体の組員が自分の組を持つと
三次団体の組長となり
大きい組織では四次団体、五次団体と拡大されてゆく

三島は三次団体の組長。間島より年上で
見た目は、強面とは言い難いインテリジェンスな
雰囲気を持っている
事件の事は、当然、知らないわけがない 
代理を立てるのもよくある話だ

「話を持ちかけて来たのは誰だ?」

「知らん」

「あんたんとこなら、それなりのルートも確立されてただろ?
 なのに、わざわざ危ない橋を渡った理由は何だ? 
 そう言えば、外に居た連中、厄介なもん隠し持ってるよなぁ
 銃刀法違反で、しょっ引いたら、あんたにもヤバい立場になる」

しつこい間島に、のらりくらりと嘘をついても見破られる
観念した三島が素直に話しだした

「安く流してやるから取引しないかと持ちかけられたんだ
 どこの誰かもわからん奴と取引しないと断った
 絶対にバレないルートだから安心しろ
 そう言って何回も接触して来やがった 
 悪い話じゃない・・・何度か取引した後に決めると返事をした
 筋書きは、全て向こうが立てると言ってきたから
 下のもんに一任させたんだよ。俺は直接会ってない」

「どんな男だっと言ってた?」

「わからん。お互い背中向けたままで顔も見なかったみたいだ」

「海藤は、どうして首を突っ込んで来た」

「俺が知りたいよ。あいつが余計なことしなければ
 何もなかったのによ・・・・・」

「歩き方に癖のある男のことは知ってるか?」

「ああ、何度か取引の伝言役として来たと言ってたな
 訊いた話では、バイクで事故った後遺症だと言ってたらしい
 いい小遣い稼ぎになるバイトだともな
 これだけ話したんだ、それなりに便宜をはかってくれよ
 それでなくても、俺は、病人なんだから」

急に気怠そうな顔をして、病人面する三島の肩を叩き

「お大事に」とだけ声をかけて間島は出て行った

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「ありましたか!」

嬉しさの余り、デスクの前で田中が直立不動で立ち上がっていた
その大声で、何事かと4課の連中が振り返る
間島の思惑通り、某所保健所に相談の連絡が入っていた
運が良かったのは、連絡があったのが、その日の夕方
明日、見に行くと返事をしたらしい
踏み込まれては、住居を変えるおそれがある
事情を話して、とどまるように話をつけた
後は、上司である間島の指示を仰ぐだけになった

病院を出た間島は、停めていた車に乗り込むと
タバコに火をつけた
主要人物が限られているのに尻尾が掴めないのと
ホンボシの目的が見えなかった
ただの金儲けなのか?怨恨なのか?
「いちから道明寺を洗うか・・・・」
社長である楓と秘書の山崎の事も調べなければならない
一番の謎は、高齢の海藤が未練も無く何もかも捨てた事と
司のフィアンセとの関係だった

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ここからは拍手コメントお礼となります

ハンドルネームが記載されていなかったので
お名前のないお返事で申し訳ございません

初めまして!拍手コメント頂き、ありがとうございました
当方の体調まで、お気遣い頂き、ほっこりした
お気持ちを頂きました!ありがとうございます

9月に入ったばかりなのに
休日出勤も多くて、今月乗り切れるか?と不安になったりします
夜は、睡魔に襲われて、気がつけば爆睡してます(ノД`)
つかつく登場せず、間島大活躍!
オイオイですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです
宜しくお願い致します
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